研究課題/領域番号 |
07680821
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
小野 勝彦 島根医科大学, 医学部, 助教授 (30152523)
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研究分担者 |
津森 登志子 島根医科大学, 医学部, 助手 (30217377)
安井 幸彦 島根医科大学, 医学部, 教授 (30174501)
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キーワード | オリゴデンドロサイト / 小脳 / 橋 / 細胞移動 / 免疫組織化学 / 組織片培養 / O1 / O4 |
研究概要 |
中枢神経系内の神経膠細胞の一つであるオリゴデンドロサイト(OL)は、脊髄においては底板に隣接する神経上皮層に由来することが報告されている。一方、後脳(橋と小脳)は脊髄と基本構造を同じくすることから、後脳においても最も初期のOLはその腹側部である橋から出現することが予想される。本研究では、後脳のOLの出現・移動様式について調べ、以下のような結果を得た。(1)最も初期のO4陽性(O4+)細胞は脊髄におけると同様に、底板に隣接して見られた(ふ卵5日目、E5)。(2)発達が進むとともに、O4+細胞の分布は、底板近傍から、橋の内側部(E5)、次いでその外側部(E6)、さらに小脳(E7)の順で拡がっていった。また、個々のO4+細胞は、成長円錐をもつ単極型をしていた。(3)移動中と思われるO4+細胞は、神経突起に沿って配列しているようにみられるものがみられた。移動の際に神経突起をガイドラインとしている可能性が示唆された。(4)O1+を示すOLはE8より脳幹内側部に出現し、E10までに脳幹全域に、E12までに小脳にみられるようになった。(5)いろいろな発達段階の後脳を、橋内側部、橋外側部、小脳にわけて別々に培養し、O4+細胞の出現時期を調べた。その結果、橋内側部ではE5由来の培養組織片から、橋外側部ではE6由来の、小脳ではE7のものから出現し、組織内の出現の時期と一致していた。また、O1+OLの出現もこれと一致していた。 以上の結果より、OLが後脳においても腹側部(橋)から背側部(小脳)に順に発達していくことが示された。初期の後脳背側部はOLの前駆細胞を含まないことや、O4+細胞の多くが移動細胞の形態的特徴を有していることなどから、後脳腹側部に由来するO4+のOL前駆細胞が移動によってひろがり、その一部が小脳のO1+OLになることが強く示唆された。
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