研究課題/領域番号 |
07680826
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
西山 慶治 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (10106354)
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研究分担者 |
外崎 敬和 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50155545)
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キーワード | α2-アドレナリン受容体 / ニューロトロフィン受容体 / 後根神経節ニューロン / 交感神経 / 脊髄後角 / 痛覚上行路 |
研究概要 |
末梢神経損傷後に生じる慢性疼痛は痛覚を受容する後根神経節(DRG)ニューロンにアドレナリン受容体が発現してくることが発症の原因の一つとして示唆された。本研究の目的はDRGニューロンにおいてこの受容体を発現する細胞の種類とその受容体のサブタイプとを同定して、交感神経系が疼痛発症をどのように修飾するかについて調べることにある。前年度までに、交感神経の損傷が機転となってDRGニューロンにα2-アドレナリン受容体が誘導されてくること、NEやカプサイシンに対してDRGニューロンが反応性を増強して脊髄後角の二次ニューロンを興奮させることがわかった。一方、交感神経を除去された足底への熱刺激に対しては、術後1日からほぼ3週間に亘って反応性が鈍くなった。本年度の研究実績として、(1)交感神経削除後のDRGニューロンにおけるα2-アドレナリン受容体(Ad-R)並びにニューロトロフィン受容体(NT-R)の変化:in situ hybridization法によってα2-Ad-Rのサブタイプ並びにNT-RのmRNAの変動を検索した。その結果、交感神経切除後のDRGニューロンはAd-Rではα2Cの陽性細胞が増加する傾向を示した。またNT-RではtrkCのmRNAが大型細胞のみならず、小型細胞にも認められるようになった。さらに低親和性のNT-Rであるp75のmRNAが多くの細胞において発現するようになった。以上のことは、DRGニューロンは種々の受容体を介して交感神経系と密接な関連性を有することが判明し、末梢神経系の損傷のおける疼痛発症に交感神経が深く関わりを持つことが示唆された。(2)痛覚上行路切断後の交感神経切除が熱刺激撤退反応に及ぼす影響;この実験でも、熱に対する反応は遅延しており、交感神経が知覚神経の熱刺激閾値に深く関与することが示唆された。
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