研究概要 |
我々は、c-fos mRNAが明暗の変化によって網膜に発現し、2つの異なった機構で変動していることを初めて明らかにした(Neuron,vol.10,1993)が、c-fosは、たんぱく質合成を調節する役割をもつ転写制御因子である。さらに、このc-fos mRNAをCREB(cAMP response element binding protein)が転写促進をする細胞があること、CREBはソマトスタチンなど多くの蛋白質の転写を調節すること、実際に活性があるのは、燐酸化されたCREBであり、Caイオン流入がCREBの燐酸化に必要らしいということがMontminyら(Nature1989)によって明らかにされている。今年度はCREBが明暗変化でどのような様式で、燐酸化されていくのかを抗燐酸化CREB抗体を用い、免疫染色とウエスタンブロットを行なった。暗期には抗燐酸化CREB抗体を用いた免疫染色によって染色されなかった。また、ウエスタンブロットにおいても検出できなかった。以上より暗期にはCREBは燐酸化されていないことが明かとされた。さらに、明期に変化した後、20秒、1分、5分、のラット網膜を採取して、免疫染色とウエスタンブロットを行なったところ、1分をピークとして燐酸化CREBが検出され、明暗の変化により、つまり光が刺激として、CREBが燐酸化されることが明かとなった。
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