本研究では網膜において、CREBが明暗変化でどのような様式で、燐酸化されていくのかを抗燐酸化CREB抗体を用い、免疫染色とウエスタンブロットを行なった。暗期には抗燐酸化CREB抗体を用いた免疫染色によって染色されなかった。また、ウエスタンブロットにおいても検出できなかった。以上より暗期にはCREBは燐酸化されていないことが明かとされた。さらに、明期に変化した後、20秒、1分、5分、のラット網膜を採取して、免疫染色とウエスタンブロットを行なったところ、1分をピークとして燐酸化CREBが検出され、明暗の変化により、つまり光が刺激として、CREBが燐酸化されることが明かとなった。 次に、Caイオンの流入がc-fos mRNAや、燐酸化CREBの発現にどのような影響を及ぼすかを、Caチャンネルアゴニストやブロッカーを投与したラットを用い、in situ hybridization法によりc-fos mRNAの発現を観察した。Caチャンネルアゴニスト投与後45分後にc-fos mRNAの発現や、CREBの燐酸化にピークが見られ、網膜においてもCaイオンの流入がc-fos mRNAの発現や、CREBの燐酸化に必須であるということが明かとなった。今後はCaイオンの流入から、CREBの燐酸化の間にどのような細胞内情包伝達系の経路が存在するかの検討をする予定である。
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