研究概要 |
自己免疫性脳脊髄炎(experimental autoimmune encephalomyelitis,EAE)を発症した中枢神経系でのミクログリアとアウトロサイトの相互作用を知る目的で、in situ RT-PCRによりサイトカインmRNAを組織上で増幅・同定することを試みた。in situ RT-PCRはproteinase K処理後、SuperScript Preamplijfication Systemで逆転写し、さらに、TGF-β1特異的なプライマーを用いて直接法と間接法で行った。直接法ではDIG-dUDP存在下でPCRを行い、DIG標識PCR産物を抗DIG抗体を用いた免疫染色で同定した。間接法では未標識-dUDPを用いてPCRを行い、DIG標識TGF-β1特異的プローブでハイブリダイゼーションを行った。 直接法ではいくつかの前処置にもかかわらず、genomic DNAに存在するきず(nick)にDIG-dUDPが入り込んで修復され、すべての核が染色されるア-ティファクト(DNA repair artifact)が克服できなかった。一方、間接法ではこのようなア-ティファクトは認められず、EAE極期に炎症細胞とミクログリアと考えられる細胞が多数陽性となる所見が得られた。ただし、安定的に特異染色を得るにはいくつかの改良(特に増幅したPCR産物を組織に固定するための技術的改良)が必要であると思われた。
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