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1996 年度 実績報告書

イノシトールポリリン酸によるニューロトランスミッター放出の制御とその分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 07680844
研究機関大阪大学

研究代表者

新延 道夫  大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (80135748)

研究分担者 有賀 純  理化学研究所, ライフサイエンス筑波研究センター, 研究員 (10232076)
キーワードシナプトタグミン / イノシトールポリリン酸 / 神経伝達物質放出 / エンドサイトーシス
研究概要

シナプトタグミンのC2Bドメインはイノシトールポリリン酸(IP)結合部位でありIPが結合することにより、シナプス連絡のブロックが生ずることをイカ巨大シナプスを用いた研究から明らかにした。また、電気生理学的結果より、このブロックがシナプス小胞の前シナプス膜への融合阻害にあることも明らかにした。即ち融合過程にシナプトタグミンが直接関与する可能性を強く示している。さらに、C2Bドメインに対する特異抗体をイカ巨大シナプス前部に注入し、高頻度刺激を行なうと、シナプス小胞が激減するところから、C2Bドメインがシナプス小胞のエンドサイトーシスにも深く関わることを明らかにした。今年度はイカ巨大シナプスを用いて得られた研究結果が哺乳類系の細胞を用いた場合でも観察されるか否かについての検討を加えた。まず、ラットの上頚部交感神経節細胞の初代培養系を用いて同様の実験を行なった。その結果、IPあるいはC2Bドメインに対する抗体の注入により、アセチルコリン遊離がブロックされることを明らかにした。またIPによるブロックはC2Bドメインに対する抗体をあらかじめ注入することにより解除された。つぎに、ジキトニン処理により透過性を高めたウシクロマフィン細胞の初代培養系を用いて、外液にIPあるいはC2Bドメインに対する抗体を加えることにより、カテコールアミンの遊離にいかなる影響を及ぼすか調べた。その結果IPが分泌小胞の膜への融合をブロックすることにより、カテコールアミンの放出を抑制していることを明らかにした。さらに、カテコールアミンの放出の抑制はC2Bドメインに対する抗体の添加により解除された。以上の様に哺乳類系の細胞を用いた場合でも同様の結果が得られたことから、IPは種を越えた普遍的なメッセンジャーとして、神経終末においてシナプトタグミンの機能を調節していることが強く示唆される。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Niinobe,M: "Synaptotagmin is an Inositol Polyphosphate Binding Protein : Isolation and Characterization as an Ins1,3,4,5-P4 Binding Protain" Biochem.Biophys.Res.Commun. 205. 1036-1042 (1994)

  • [文献書誌] Fukuda,M: "Inositol-1,3,4,5-tetrakisphosphate Binding to C2B Domain of IP_4 BP/ Synaptotagmin II" J.Biol.Chem.269. 29206-29211 (1994)

  • [文献書誌] Llinas.R: "The Inusitol High-Polyphosphate Series Blocks Synaptic Transmision by Preventing Vesicular Fusion : A squid Giant Synapse Study" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 91. 12990-12993 (1994)

  • [文献書誌] Fukuda,M: "Functional Diversity of C2 Domains of Synaptotagmin Family-Mutational Analysis of Inositol High Polyphosphate Binding Domain" J.Biol,Chem. 270. 26523-26527 (1995)

  • [文献書誌] Mikoshiba,M: "Role of C2A Domain of Synaptotagmin in transmition Release as Determined by Specific Autibody Injection into the Squid Giant Synapse" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 92. 10703-10707 (1995)

  • [文献書誌] Fukuda,M: "Role of the C2B Domain of Synaptotagmin in Vesicular Release and Recycling as Determined by Specific Antibody Injection into the Squid Giant Synapse" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 92. 10708-10712 (1995)

  • [文献書誌] Yamaguchi,Y: "Myelim Proteolipid Protein (PLP),but not DM-20,is an Inositol Hexakisphate-binding Protein" J.Biol.Chem. 271. 27838-27846 (1996)

  • [文献書誌] Ohara-Imaizumi,M: "Distinct roles of C2A and C2B domains of Synaptotagmin in the Regulation of Exeaytosis in Adrenal Chromatfin cells" Proc.Natl.Acad.USA. 94. 287-291 (1997)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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