研究概要 |
乳汁射出反射が発現するには,室傍核,視索上核に存在するオキシトシン細胞が同期してburst発射を起こし,それに続いて,神経下垂体からオキシトシンのパルス状分泌が起こることが条件であるが,オキシトシン細胞にburst発射が起こる機序は未だ解明されていない。本年度の研究では,このburst発射が,視床下部スライス中のオキシトシン細胞に,burst発射が発現することの確認と,発現の条件の検討を行った。 1.授乳期ラット,非発情期ラットおよび雄ラットについて,視床下部スライスを作製し,細胞外誘導で視索上核が活動電位を記録した。その際の発火パターンからオキシトシン細胞を選別し,30分から60分の自発発火活動を記録したが,burst発火を示すものはなかった。 2.そこで,medium中に塩酸phenylephrineを加えたところ,上記のいずれのラットの視床下部スライスにも,最大のfiring rateで10〜30spikes/sのburstないしburst様発火(持続2-4s)が記録された。但し,このburst様発火の発現頻度は極めて低いので,まず,phenylephrineのオキシトシン細胞自発発火活動に対する促進作用のdoes-response関係を検討した。 3.10^<-9>Mから10^<-3.5>Mのphenylephrineを投与したときのオキシトシン細胞の反応から,授乳期ラットのオキシトシン細胞は,非発情期ラット,雄ラットのそれに比べphenylephrineに対する感受性が約100倍高いことが明らかとなった。 4.現在,このような生殖周期の異なるstageや性差が,視床下部スライスの視索上核細胞のburst様発火にもみられるか否かを検討中である。
|