研究概要 |
ゴナドトロピン分泌調節中枢におけるノルアドレナリン(NA)作働性及びNMDA受容体作働性ニューロンの機能的配置を推定するため、NA投与によるLH分泌刺激に及ぼす選択的NMDA受容体拮抗薬(MK801)の影響、NMDA投与によるLH分泌刺激に及ぼす選択的α受容体拮抗薬(phenoxybenzamine,Pb)の影響をそれぞれ検討した。実験は卵巣摘出後2週間以上経過したウィスター系雌ラットを用い、20ugのestradiol benzoate(EB)を三日前に皮下投与した動物で行った。 NA25ugの脳室内投与、及びNMDA40mg/kgの静脈投与は十分なLH分泌を誘起した。これらのLH分泌刺激効果は、20mg/kgのPb、及び0.2mg/kgのMK801の腹腔内への前投与によりそれぞれ十分に抑制された。一方、0.2mg/kgのMK801は、25ugのNAのLH分泌刺激効果を抑制しなかった。同様に、20mg/kgのPbは、40mg/kgのNMDAのLH分泌刺激効果を抑制しなかった。これらの事実はNA作働性ニューロンとNMDA受容体作働性ニューロンは、LHRHニューロンに対して並列に配置し、それぞれ独立にLHRHの放出を刺激してLH分泌を誘起することを示唆した。 我々は更に、EBを投与しない卵巣摘出ラットの視索前野に微量透析用のガイドカニューレを装着して、MK801及びPb投与によるLHパルスの消失に伴って、NA及び興奮性アミノ酸の放出量が減少するか否かを、in vivo microdialysisによる測定により調べることを試みたが、期待された結果を得るまでには至らなかった。
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