研究概要 |
成熟ラット脊髄スライスに後根を付した標本を用い、GABAおよびグリシン受容体拮抗薬存在下に誘起される長期抑制性シナプス応答(slow IPSP)を膠様質細胞からの記録によって解析し次の結果を得た。 1、nomal Krebs液中で、記録細胞近傍をfocal刺激すると、GABAまたはグリシン受容体を介する40-80msの持続を持つfast IPSPが記録されるが、GABA及びグリシン受容体拮抗薬の存在下では、振幅の著明に大きな、勝つ単発刺激でも持続が数分にも及ぶslow IPSPが誘起された。後根刺激でも同様なslow IPSPが観察された。このslow IPSPは、グルタミン酸受容体拮抗薬であるCNQXで完全に抑制された。一方、focal刺激によるslow IPSPは何ら影響を受けなかった。以上のことは、slow IPSPが介在ニューロンから放出された伝達物質によって誘起されている可能性を示唆する。 2.slow IPSPは膜コンダクタンス上昇を伴い、その逆転電位からK^+イオン透過性増大によると考えられた。同様にソマトスタチン誘起過分極も類似のイオン機序を有していた。 3.外液のK^+イオン濃度を変えるとNernstの式に従いslow IPSP,ソマトスタチン誘起過分極の逆転電位が変化した。 4.slow IPSPの振幅は、膜電位に対しほぼlinearとなり明かな電位依存性は示さなかった。また、K^+チャネルのblockerの一つであるバリウム存在下では両者は著明に抑制された。 5.ソマトスタチン誘起過分極電位発生中にはslow IPSPの振幅は著明に減少し、ソマトスタチンがslow IPSPの伝達物質である可能性が示唆された。
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