研究課題/領域番号 |
07680905
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 佐賀医科大学 (1996) 久留米大学 (1995) |
研究代表者 |
吉村 恵 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (10140641)
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研究分担者 |
井口 敞恵 久留米大学, 医学部, 助教授 (10080558)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 脊髄後角 / スライス標本 / 膠様質細胞 / ソフトスタチン / slow IPSP / 痛覚伝達 / ペプチド / シナプス電位 |
研究概要 |
成熟ラット脊髄のスライスに後根を付した標本を作製し、後角第2層、所謂substantia gelatinosa(SG)ニューロンから細胞内記録を行い、bicucullineとstrychnine存在下に誘起される長期抑制性シナプス応答(slow IPSP)を解析し、次ぎの成果を得た。 1)正常Krebs液中で後根神経のAδ線維を単発刺激すると、GABAまたはglycineで仲介される経過の速い抑制性シナプス電位(fast IPSP)が誘起された。その持続時間は40ms〜100msであった。ところが、GABA受容体の拮抗薬であるbicuculline(10μM)とglycine受容体の拮抗薬であるstrychnine(2μM)存在下に単発刺激をすると、3分にも及ぶ持続の著名に長い抑制性シナプス電位(slow IPSP)が記録された。 2)Slow IPSPはグルタミン酸受容体の拮抗薬であるCNQX(10μM)によって可逆的に抑制された。一方、局所刺激によるslow IPSPは何ら影響を受けないことから、slow IPSPは介在ニューロンを介する多シナプス性応答であると考えられた。後角に存在する伝達物質のうち、ソマトスタチンのみが同様の過分極応答を誘起した。 3)Slow IPSPは膜抵抗の減少を伴い、その逆転電位からカリウムイオンの透過性増大によって発生していると考えられた。同様に、ソマトスタチン誘起過分極電位もカリウムイオンの透過性増大によって惹起されていた。 4)Slow IPSP及びソマトスタチン誘起電位は共に外液のカリウムイオン濃度に依存しており、その逆転電位はNernstの式に従った。 5)ソマトスタチン誘起過分極電位発生中にはSlow IPSPの振幅が著明に減少したことから、ソマトスタチンがSlow IPSPの伝達物質である可能性が示唆された。
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