1.毎日排出される実験動物の排泄物を飼育室単位で収集可能な施設である利点を生かして、各動物の排泄物を定期的に回収し、ダイオキシンの発生の懸念のある焼却処理によらず、撹拌できる容器で加温し高温を維持しながら微生物を添加して発酵分解させ、有機分解物を大地に還元するシステムを構築することを目的とした。 2.実験計画は初年度排泄物の収集量が安定している動物種まずウサギ・モルモット及び繁殖ラットを対象に行った。次年度ではイヌ・ネコ・サル・アヒル等の排泄物にも適用し、同様の処理方法を適用して成果を検討した。最終の3年目には有機物分解装置の稼働の作業工程の確立にも着手する。 3.ウサギなど一部の動物については排泄物の収集、計量後処理装置に投入、加温下での撹拌と微生物の好適な発酵条件の設定を模索し、飼育頭数や処理容器の容量(約260L)の制約で、2週間分量の処理で有機分解物約70kg(湿重量)を排出した。この作業の継続中に、環境温度の上昇、発酵分解程度の違い等の要因で衛生害虫の集簇や臭気の発生による周辺環境の汚染による分解処理装置の設置場所の移転が緊急の検討課題となった。分解過程に除臭装置を設置、脱臭効果をもつ物質の添加等の対応策の下試行錯誤的な運転を継続して実施した。 4.発生する主な臭気の成分はアンモニア、硫化水素などが推定され、畜産業の分野でも家畜の排泄物の処理時に臭気の対応に苦慮する現状が報告されているように、今後この事業には運転規模には無関係に臭気に対する感覚には個人差もあり、科学的にも有効な脱臭気対策が必須になることが明らかとなった。
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