研究課題/領域番号 |
07680921
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
上山 義人 東海大学, 医学部, 助教授 (30072408)
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研究分担者 |
山崎 等 東海大学, 医学部, 講師 (20191273)
中村 雅登 東海大学, 医学部, 講師 (00164335)
玉置 憲一 東海大学, 医学部, 教授 (50055860)
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キーワード | 免疫不全動物 / 転移 / 移植Xenograft / VEGF |
研究概要 |
本年度の研究では前年度に引き続き、重症免疫不全Severe Combined Immunodeficient(SCID)マウスおよびNatural Killer(NK)細胞の活性の低下しているSCID/beigeマウス等の免疫不全動物に固形腫瘍株を皮下移植し、転移の有無を検討した。この系において、ヒト固形腫瘍株の転移形態と各種接着分子やnm23遺伝子発現との関連性を明らかにした。また、本年度は新たに腫瘍の産生する血管内皮増殖因子VEGF等の遠隔転移への関与を解析した。 ヒト腫瘍ヌードマウス移植Xenograft株約50株についてnm23遺伝子の発現の有無を検討した。これらの中から、nm23遺伝子の発現のあるLC-11肺腺癌株と発現のないLC-17肺腺癌株を、それぞれヌードマウス、SCID/beigeマウス、AKR-strikerマウスの皮下に移植し、3ヶ月後に屠殺解剖し、各種臓器における転移状況を観察した。ヌードマウスでは2株とも全例転移を認めなかったが、nm23遺伝子発現のない肺癌株(LC-17)を移植したSCID/beigeマウス、AKE-strikerマウスでは全例に肺転移と肝転移を認めた。これらより、in vivo転移実験動物モデルのための免疫不全動物宿主としてSCID/beigeマウス、AKR-strikerマウスは有用なことが示唆された。また、一部の固形腫瘍においてはVEGFの産生の亢進が遠隔転移に密接に関連していることが示唆された。 in vivoでの転移実験動物モデルとしては、動物の尾静脈からの腫瘍細胞の注入による全身臓器への腫瘍形成能をもって転移とするのが一般的である。しかし、このモデルは実際には腫瘍塞栓の状態に近く、より人体内に近い様式で、腫瘍が転移能を示す実験モデルの開発が必要とされてきた。本研究の結果、移植宿主として、SCIDマウスと各種の亜型を用いたin vivoにおけるヒト腫瘍の転移実験モデルは転移を抑制する薬剤、方法の開発に有用となると考えられた。
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