研究課題/領域番号 |
07680932
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
宮本 嘉巳 山形大学, 工学部, 教授 (30001689)
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研究分担者 |
高橋 龍尚 山形大学, 工学部, 助手 (40250956)
新関 久一 山形大学, 工学部, 講師 (00228123)
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キーワード | 呼吸調節 / 二酸化炭素負荷 / 伝達関数 / 最適制御 / 運動リズム / 呼吸数 / 心拍数 / 磁気刺激 |
研究概要 |
本研究の目的は、運動時の呼吸循環調節系の最適制御についての生理学的裏ずけをすることにある。まず、運動時換気昂進の主たる刺激とされている二酸化炭素を一定濃度の混合ガスとして被験者に呼吸させた場合(定濃度負荷)と、一定流量の純二酸化炭素を測定系の呼吸回路に加えた場合(定流量負荷)の換気応答を比較した。定濃度負荷では換気昂進による肺胞気二酸化炭素分圧低下が期待できないのに対し、定流量負荷では換気が増加した分だけ二酸化炭素は低下する。呼吸中枢が最適制御をしているならば両者の換気応答に差がでるはずである。二酸化炭素を定濃度、定流量とも疑似ランダム法(PRBS)で被験者に負荷し、これから推定される動脈炭素ガス分圧変化を入力、換気応答を出力としてその間の伝達関数を求めた。末梢化学授容器の関与の有無を知るため、実験は21%と90%酸素下で行った。伝達関数の時定数は、hyperoxiaでは定濃度、定流量とも差がなかったが、normoxiaでは定流量で有意に短縮した。伝達関数から求めたインパルス応答でもnormoxia、定流量でゲインの増加、ピーク到達時間の短縮が見られた。呼吸中枢は最適制御システムであり、これには末梢化学受容器が関与している。 次に呼吸数と心拍の運動リズム同期現象について、その成因と機能的意義の解明を試みた。被験者の下肢筋を一定リズムで磁気刺激した場合と、同程度の自発運動をした場合の呼吸リズムの同期現象を比較した。両者には明確な差異が認められず、運動リズム同期現象に及ぼす中枢性の指令(central command)の役割は末梢求心神経のそれに比べて小さいことが推測された。心拍と運動リズムの同期現象についても超音波ドップラー血流計で下肢筋血流を測定して解析した。同期は心収縮期から外れて生じ、筋血流が筋収縮によって阻害されないような調節が行われていることが確かめられた。これらの成果の一部は、第10回生体生理工学シンポジウム(札幌、95年11月)で口頭発表し、また本年4月の日本生理学会でも発表予定である。詳細な内容については、すでにRespiration Physiologyに投稿し受理されている。
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