研究課題/領域番号 |
07680933
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
椎名 毅 筑波大学, 電子・情報工学系, 助教授 (40192603)
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研究分担者 |
神保 泰彦 日本電信電話株式会社, NTT基礎研究所・物質科学研究部, 特別研究員
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キーワード | 微細胞電極 / 培養神経細胞 / 脳組織標本 / 神経回路網 / 神経活動電位計測 / 自発的発火 / 電気刺激応答 / シナプス結合 |
研究概要 |
先端部の大きさが30x30μmの微細胞電極を64個アレイ状に配置した基板を作成し、その上に、ラットの大脳皮質の切片を電極上で培養したものと、大脳皮質を単離して培養成長させたものを測定試料として作成した。 皮質切片では、2週間程培養した後に、自発的および電気刺激により生ずる電位を計測した。各電極からの電位波形は20kHzでA/D変換して記録した。培養液の組成に依存して、様々な自発的な振動状態としてバースト波が観察された。例えば、カイニン酸(10μM)を含む溶液中では、5秒間程のバーストが、約100秒間隔で何回か繰り返す様子が観測された。これより、バーストの発生源と伝搬経路の推定を試みた結果、表層で発生した活動が層に沿って伝わり、ある時点で深さ方向への伝搬が生じると短時間で全領域に広がる様子が示唆された。また、刺激に対する応答では、刺激部位から周囲へ活動が伝運搬する様子が確認された。 単離細胞を培養成長させたものは、培養日数と自発的な発火パターンとの関係を調べた。その結果、培養開始直後は発火に規則性は認められないが、2週間後には周期的なバーストが現れて電極間での同期性も次第に高まり、さらに30日を過ぎるとバーストの間隔も短くなりパターンもより明確化する様子が観測された。また、各種の試薬を添加した際の発火状態の変化から、上記の培養日数と発火パターン推移との関係は、シナプス結合の成熟の過程を反映しており、このような規則的で同期した自発バーストパターンは神経回路網におけるシナプス結合の正常な成長に不可決であることが示唆された。
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