経静脈的投与によるマイクロバブルで組織灌流画像を得るにはマイクロバブルの非線形現象、後方散乱波のハ-モニック周波数を利用するのが有効と考えられる。後方散乱のRF信号からBモード、ドップラ法、それぞれでパワースペクトルを求めた。マイクロバブルをゼリーでファントム内に固定しscanした。後方散乱波のRF信号及び直交検波されたドプラ信号をA/D変換し、ヒルベルト変換にて選択された周波数の局所振幅イメージを得てマイクロバブルの存在する部位を選択して約9mm^*9mmの空間的な平均値を求めた。単一scanラインでのパワースペクトル計測は、超音波によるストリーミング現象またはカオス的振る舞いで不安定となった。後方散乱波の振幅のデシベル値は超音波連続スキャンで指数関数減衰を示し、一定確率でマイクロバブル存在量に比例して崩壊する単純モデルでは説明できず、含まれるマイクロバブルのサイズの差による壊れ易さの相異による複数の崩壊曲線または多重反射、伝搬過程での減衰等を反映した複雑なモデルが必要と考えられる。減衰はAlbunexが最も大きく、次いで、SHU508A、F-04Eが類似し、WQ3600は崩壊しにくい。2次高調波/送信周波数のパワー比は0.186から0.371でマイクロバブルにより異なり、いずれも3.5より2.5MHzで大きく、減衰も2.5MHzで大きかった。最大の観察像を得るにはそれぞれのマイクロバブルに適したプローブ周波数の選択と後方散乱波輝度曲線からの組織流量の推定にはマイクロバブルの崩壊現象を考慮する必要があり、マイクロバブルによって最適なscan時間を設定する必要がある。
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