研究概要 |
本実験には純チタン製の厚さ0.5mm,直径4mmの円板に長さ3mm,直径2mmのシリンダーが付いたインプラントをチタンブロックの削り出しにより作製(machine turned)し、円板の平坦面に酸化チタン粒(25μmおよび250μm)による砥粒加工(grit blast),電解研摩(electro-polish)及びイオンビーム加工を行った。各インプラントをラットの腹膜に埋入した後、12週後に屠殺し、インプラントを周囲組織を含め一塊として摘出した。インプラントの円板の平坦面に接した部位の組織のうち半分からPIXE測定用の凍結切片を作成し、残り半分から顕微鏡観察のためのHE染色切片を作成した。PIXE測定には約1ppmまでの測定精度のある2MeVのタンデトロンタイプの加速器を使用した。各インプラントに接した組織反応については被膜の厚さと細胞の種類と数について測定を行なった。線維性被膜内におけるチタン濃度はインプラントのμmレベルでの表面粗さと関係なく10ppm以下となった。線維性被膜の厚みはインプラントのμmレベルでの表面粗さにほぼ比例して厚みを増した。PIXEの応用によりインプラントに直接接した部位の組織反応を観察することができ、同一面内におけるチタン濃度を高精度でしかも位置的にも正確に測定することができた。
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