被験者にコリオリ刺激(クロスカップルド回転)あるいは視運動刺激を与えて動揺病を誘起し、自己受容器に作用する刺激および視覚刺激と動揺病強度との関係を調べることを目的に研究を行った。 コリオリ刺激によって誘起される動揺病不快感の強度を絶対判断法によって測定した。同時に、呼吸流量、呼気炭酸ガス濃度、呼気酸素濃度の連続測定から代謝量を計測するとともに、心電図、血圧、皮膚電図などの生体計測を行った。本年度の実験により、動揺病発症時に呼吸量は変化せず酸素消費量と炭酸ガス排出量が低下する結果が得られ、動揺病を発症すると代謝量が低下することが示された。しかし、呼吸流量の測定システムにおいて、センサが呼吸の抵抗負荷を増大させ、マスク内の残留呼気のために吸気の酸素分圧・二酸化炭素分圧が変化する結果となり、呼吸流量の測定が被験者の呼吸に影響を与えた可能性がある。そこで、呼吸を可能な限り自然呼吸に近く保ちつつ呼吸流量を測定できるように、呼吸系の計測システムの改良を進めた また、視運動刺激を与えて動揺病を誘起するために必要な設備・施設を整備し、画像に任意の並進および回転運動を与えて駆動するためのソフトウェア制作を行った。動揺病を誘起するために必要な視運動刺激の仕様を検討した。画像の駆動速度の高速化とともに回転・並進のより複雑な組合わせが可能なように駆動ソフトウェアの改良を進めた。
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