レーザースペックル血流画像化法(レーザーフローグラフィー、以下LFG)の指示値と絶対血流速度との関係を調べるため、まず市販の高倍率顕微鏡システムを改造し、LFGシステムを組込んだ。さらに高速走査型イメージセンサーをもう一枚取り付け、ビデオ信号をパソコンに取り込むインターフェース、高輝度LEDをイメージセンサーの垂直同期信号に同期させてストロボ発光させる駆動回路、粒子像相関を用いて血球絶対速度を求める処理系、および測定結果を画像表示するためのソフトウエアを製作した。カエルの水掻き部分の血管網について、両者を同時に用いて血流を測定し、前者により得られた指示値(相対値)を後者で得られた絶対流速と比較して、較正テーブルを求めた。この結果、血管径、背景の組織血流の有無、血液濃度、管壁の厚さなど幾つかの要因により、較正曲線の傾きが種々変わることが解った。これらの要因は、散乱粒子群内をレーザーがどのような経路を辿って検出器に戻ってくるかを条件付ける。この傾向を詳しく調べるため、ガラス細管の中に散乱粒子を流し、背景に乳白板を置き、模擬的に眼底血流に近い実験系を構成した。管径、粒子濃度などを変えながら同じ実験系を用いて計測を行ったところ、やはり同様の傾向が得られた。したがってLFGシステムの指示値を絶対流速に変換するためには、少なくとも血管径を読み取る手続きが必要であることが本年度の研究から解った。
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