研究概要 |
歯科矯正における画像化されたセファログラムにはX線散乱による非ガウスノイズや画像化による量子化ノイズ等が重畳されている.そのため,これらのノイズ除去を試み,クリーンなセファロ画像を歯科医に提示した.ところが,歯科医はノイズを含んだセファロ画像からの特徴点抽出には慣れているものの,ノイズのないセファロ画像からの特徴点抽出にはかなり苦労することがわかった.これでは歯科医の経験を反映したシステムの構築が難しいため,前処理をしないノイズを含んだままのセファロ画像から出発することにした. まず,頭蓋骨輪郭線の欠損した部分に対し,筆者等の提案しているネオファジィニューロンを用いてその復元を行なった.ネオファジィニューロンは頭蓋骨輪郭線の変化を一種のダイナミックシステムとみなし,欠損部分に対してはシステムの状態予測により,その復元を良好に行なった.これにより頭蓋骨輪郭線の近傍に存在する特徴点の抽出が可能になった. また,頭蓋骨内部に存在する特徴点の抽出については,歯科医は近傍の画像の明暗その他等により判断するので,直接画像処理により特徴点を抽出することにした.具体的には,ネオファジィニューロンを2次元に拡張し,特徴点付近の画像の濃淡と特徴点の座標との関連を直接学習させた.抽出結果は,特徴点の種類にもよるが,平均誤差約2mm程度の精度が得られた.本実施例では学習用画像として,ある程度形態の似かよった画像十数枚を使用したが,使用する学習用画像を予めクラスタリングし,そのクラスタ内で議論するようにすればさらに高精度の抽出結果が期待できるものと思われる.これについては,次年度以降の研究課題としたい.
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