研究課題/領域番号 |
07680950
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
田中 敏明 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (40248670)
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研究分担者 |
伊福部 達 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70002102)
乗安 整而 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (70045516)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 音像定位 / 聴覚刺激 / フィードバック / 重心動揺 / バランス訓練 / 足底感覚 |
研究概要 |
前年度は足趾感覚の静的バランスにおける重要性を若年者および高齢者で比較検討した。本年度はまず、動的バランス状況を考慮し音像定位するための基礎データとして支持基底面内での重心移動範囲を若年者および高齢者の2群について求めた。これを踏まえバランスに影響を及ぼす音像定位によるフィードバックシステムを開発し、上記2群を比較検討した。実験結果より重心動揺分析においては若年者群では音像定位刺激に加え足底および視覚情報を変化させても影響は少なく、高齢者群では足底感覚情報を減少した条件と足底感覚を増強刺激した条件間で有意差が拡大した。特に左右の最大振幅にその影響が認められた。これは、2群を比較した場合において、足底感覚情報を減少した条件下で開閉眼とも最大左右振幅に若年者と高齢者で差を認められたことからも、本研究で用いた左右への影響が前後より大きい音像定位に加え足底感覚または視覚情報を減少させると、重心動揺においては左右への動揺が大となる傾向を示した。足定圧分析結果より2群とも、音刺激があり足底感覚情報減少時に左足で支持する傾向がみられた。また、2群間の比較では若年者は右前足部での支持する傾向があり、高齢者では右後足部で支持する傾向となった。これにより、高齢者は若年者に比べ、本研究で用いた音像定位刺激により重心動揺および足定圧は影響を受け、特に音像定位刺激に加え足底感覚や視覚情報を変化させた場合その影響は大となることから、高齢者のバランス訓練における聴覚および足底感覚によるバイオフィードバック治療への臨床応用の可能性が示唆された。しかしながら、本研究においては時計回り、反時計回りでの音像定位刺激における特徴は認められず、被検者の利き足、非利き足を考慮しつつ、若年者、高齢者各々にとってバランス能力向上に重要な視覚情報を補うための臨場感ある音像空間定位刺激および適切な足底感覚刺激法の研究を進める必要がある。実験の変更点としては、(1)当初視覚障害者を被検者として計画していたが、足底感覚を減少させる条件等、転倒の危険大であるためインフォームドコンセントを考慮し、健常な若年者と高齢者のみとした。(2)臨床応用を考慮するため音像定位フィードバックが簡便式であること、空間や部屋の特性に依存せず音再生が可能で刺激としての再現性が高い方法であること等考慮してバイノ-ラル再生法を採用し音像定位フィードバックシステムを開発した。以上2点であり、本研究課題の平成8年度の研究計画はほぼ達成できた。
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