研究課題/領域番号 |
07680961
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10152365)
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研究分担者 |
菅原 基晃 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60010914)
森田 浩一 川崎大学, 医学部, 助手 (20210172)
辻岡 克彦 川崎大学, 医学部, 教授 (30163801)
梶谷 文彦 川崎大学, 医学部, 教授 (70029114)
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キーワード | 慣性力 / 心筋内冠動脈血流 / 20MHz超音波ドップラー血流計 / α受容体遮断薬 / phase loop / 冠動脈拡張早期血流 |
研究概要 |
本研究で評価する左心室血流慣性力の効果は、左室内圧(LVP)と左室内圧微分値(dp/dt)で構成されるphase loopの直線部分を延長したラインよりも下方へのloopの一部の突出として評価できるこの突出部のサイズと冠動脈血流の流入開始時期、拡張早期血流ピーク値、ピーク後のdecayの時定数T、を比較検討して、慣性力が冠動脈拡張血流に及ぼす影響を検討・解析した。具体的には心筋収縮性、血管トーヌスを変化させ、それに対する慣性力の大きさの変化を検討し、各種条件下における慣性力の冠血流に対する影響を考察した。麻酔開胸犬を用いて、拍動性心筋内冠動脈血流を左冠動脈第一中隔枝において80チャンネル20MHz超音波ドプラ血流計で計測した。また、コントロールおよびノルエピネフリン(i. v.)投与時、それにα受容体遮断薬フェノキシベンザミン(i. v.)を加えた状態の種々の“LVP-dP/dt loop"(phase loop)を実現し、その際の心筋内血流計測を行った。このphase loopから、慣性力が強い群(7例)と慣性力が比較的弱い群(5例)に分類して、この2群間で冠動脈拡張早期血流ピーク値を比較した。phase loopから見た慣性力の強い群の拡張早期冠血流ピーク値は、60.3±20.4cm/secで、慣性力の弱い群では51.7±13.4cm/sec (mean±s.d.)であり、慣性力の強い群では拡張早期血流ピーク値は有意に高値(p<0.05)であった。以上の結果より、左室収縮末期に大動脈へ向かう血液の慣性力は冠動脈拡張早期血流のピークの発生に関与していることが示唆され、逆に不全心では慣性力の低下により拡張早期冠血流流入障害の存在が示唆された。
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