「過疎地域社会における高齢者の生活構造」というテーマに、次の3つのアプローチから迫った。 まず、過疎地域社会、主として北海道南部の長万部町の高齢者を対象にした取材であるが、ここからはさまざまな高齢者が得られてきている。 次いで、『国勢調査』、『人口動態統計』等を整理して、統計的データ処理を行なった。その中で、北海道南部の渡島・檜山地域の市町村に関して、国勢調査データを主として用い、コ-ホ-ト変化率法による平成22年まで5年おきの人口推計プログラムを表計算ソフトウェアにおいて作成し、推計を行なった。この推計から明らかになったことは、事情が変わらなければ、対象過疎地域社会においてはとりわけ若年者の人口減少によって高齢化率は急増し続けるが、高齢者人口自体のピークは平成17年に到来すると予想されることである。つまり、対象過疎地域社会からは、全国規模の高齢化とは異なるパターンが見いだされた。 さらに、北海道南部の地方自治体のうち7ヵ所、江差町、北檜山町、瀬棚町、砂原町、今金町、長万部町および八雲町を選定し、それぞれの高齢化対策関係部署(民生課、高齢者対策室、等)を対象に、過疎化と高齢化・福祉化の現状と対策について取材した。若年層の流出と深刻さと過疎対策の難しさを聞き知った。なお各自治体の「老人福祉計画」の実施は、おおむね好調である様子が伺えた。なかでも江差町の取り組みは、高齢者担当部署において高齢者に関するデータベースを情報ネットワーク化しようとするもので、独特なものであった。 なお、今後もこのような過疎地域社会を対象に、過疎と高齢化とテーマにした社会調査研究を行なってゆく予定である。
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