新潟、長野に調査旅行を行ない、民衆教育史関連の史料を収集した.主として、私塾や手習塾で民衆教育に当っていた人物たちの教育観・人間観を検討する中で、近代化をむかえた彼らが、それまでの伝統的な世界観・諸観念を総動員するとともに、そればかりではなく、一方では新しい時代に向けた新しい解釈(テキストのよみこみ)を見出すとともに、他方では、そうした世界観をより広げてゆく努力を惜しまなかったことが明らかになってきた.この下で子弟たちは、新しい時代を担う主体として形成されていった.民衆の側から積極的に時代の担い手として歴史の舞台に登場することになるのだが、それが西洋化との間でひきおこすことになったフリクションについては、更に地域に史料を求めて解明したいと考えている.
|