【研究の概要】 本年度は、以下の二項目についての研究調査を行なった。 I.中国における農村幼児教育(保育)の歴史定展開 II.現代中国における農村保育ネットワークの形成過程の検討 【資料調査】 主にIについては、国内での資料調査を進めたほか、1995年9月に中国・北京で開催されたアジア太平洋地区幼児教育シンポジウム(主催:北京師範大学)ならびに1995年12月に江蘇省南京・無錫で行なわれた現代中国社会文化調査(主催:福岡県立大学・南京師範大学)に参加し(渡航費は自弁)、IIの農村部での幼児教育ネットワーク形成についての動向についての情報収集を行なった。 【研究成果の公開】 課題IとIIに関し、上記北京でのシンポジウムの部会で小論「中国幼児教育史からみた家庭、地域と託幼事業-日本での研究者の立場から-」を報告し、参加者との意見交換を行なった。 【得られた知見】 中国では「90年代中国児童発達計画綱要」が公布されて以来、ユニセフ、世界銀行などの国際援助のもと、国家教育委員会および地方政府、研究機関が連携して、遠隔地、貧困地区も含む広範な農村に、さまざまな類型の幼児教育を普及しようとしている。国家政策としては、20世紀の到来までに全国的に35%の就園率がめざされ(都市部に限れば70%)、農村地域での幼児教育普及の焦点は、当面就学前1年間に絞られている。このほか、人口の70%を占める幼児のためのノンフォーマル幼児教育が展開し、家庭と地域が一体となった教育の可能性が各地で追求されている。 (資料調査を通じて得られた新たな知見の詳細に関しては現在報告論文を準備中。)
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