研究概要 |
(1)研究室配備のパソコンにより、中国第一歴史档案館選編『清代錫伯族档案史料選編』(新彊人民出版社、1987年)所収の満州語档案の康熈年間部分のデータベース構築を完了した。(2)中国第一歴史档案館編訳『錫伯族档案史料』(遼寧民族出版社、1989年)により、データベースを補強した。(3)楠木が所蔵する康熈23〜41年部分の黒龍江将軍衙門档案のマイクロフィルムを全て電子複写した(約30,000コマ)。この黒龍江将軍衙門档案により、康熈27年部分までのシボ族史・ダグ-ル族史・露清関係史のデータベースを構築し、(1)で作成し、(2)で補強したデータベースと併合した。(4)本研究予算により、購入した図書(『大清会典』など)・マイクロフィルム(中国所蔵の各種の満文档案)を調査し、(3)で作成したデータベースを補強した。(5)構築したデータベースを駆使して、3本の学術論文を作成した。 論文1「チチハル駐防シボ佐領の編立過程」では、同時期に編立されたダグ-ル佐領と比較検討し、両民族の出自、清朝の思惑・対応、両民族の取った行動の類似点と相違点を明らかにした。 論文2「『礼科史書』中の理藩院題本」では、黒龍江将軍衙門档案が存在しない康熈22年以前においては、「礼科史書」中の理藩院題本が重要な史料になることと、利用した場合の可能性を指摘した。 論文3「黒龍江将軍衙門档案からみた康熈23年の露清関係」では、シボ族・ダグ-ル族が佐領に編成される直前の彼らの居住地が、ロシア・清朝の緊迫した国際関係の間に置かれていたことを明らかにし、そのような状況の中で両民族がどのような行動をとったのかを検討した。
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