本研究の目的は、非営利組織の現代行政における関与の増大について、その理由、非営利組織の機能、行政への関与形態を明らかにすることを通じて、行政と非営利組織が協働する場合の法理論を確立することであった。 そのために、平成7年度は、環境行政に焦点を当てて、海外の文献収集を行うとともに、環境庁及び複数の環境NGOのヒアリング調査を実施した。 これまでの研究過程で、「NGOの行政関与形態」と「行政のNGOへの関与形態」がある程度類型化され、いくつかの法的問題点が明らかにされた。すなわち、NGOの行政関与は、インフォーマルな形で行われることが多く、法的制度として確立されているとはいいがたい。そのため、どのようなNGOが、どのような方法で、どの程度、政策の決定および実施過程に関与しうるのかということについて、一般的な法原則は存在しない。このことは行政の柔軟性の確保に資する一方、場合によっては、一部の利益の不当な尊重又は軽視を招きかねない。また、NGOの役割が増大するにつれて、NGO自身の透明性や公益性の確保が強く求められる。言い換えれば、現在、行政のNGOへの関与はインフォーマルな手法に多くを依存しているが、これを法的により強化・整備すべきかどうか、またどの程度それが許されるかということが問われている。 そこで、今後は、これらの問題を伝統的な法治行政の原理という視点から検討し、NGOの行政関与の法的枠組みを探るとともに、これが公正かつ有効に行われるために条件を提示したいと考えている。
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