中国経済において、郷鎮企業の存在が益々大きくなっている。しかし一方では、郷鎮企業の沿海偏在に起因した地域格差の拡大、都市工業との過度競争、企業規模の零細さによる規模の不経済や環境汚染などの問題も深刻化している。本研究の目的は、こうした状況を踏まえながら、郷鎮企業の地域的不均衡成長の問題に焦点を当てて、問題の背景条件や進展状況、その社会的経済的影響、さらに問題解決のための対応策などを統計分析に基づいて解明しようとするところにある。 分析に当たって、以下の手順で作業が進められてきた。 (1)各地域の経済成長と構造変化の特徴を浮彫りにするために、関係の統計資料の収集とデータの入力作業が行われた。 (2)省別の経済成長と産業別の総生産・就業者の構成変化について、データの解析が進められており、近々その成果が纒められる見通しである。 (3)各省における経済成長と郷鎮企業とくに農村工業との関係について、統計データに基づいた実証分析の結果、郷鎮企業が経済の成長に大きく寄与したことが明らかとなった。 (4)生産要素(資金、労働力)・技術の調達方法、人的資源と組織資源など郷鎮企業の形成・成長を規定する諸要素についても地域間の比較分析を行おうとしているが、関係資料の収集と蓄積が計画通り進められている。
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