本研究の目的はブランドの意味生成プロセス(意味の次元性)の解明にある。そこで、ブランドに付与されている意味がどの程度広がりをもって、人々に認識されているのかを測定した。この測定の枠組みは以下の通りである。消費者のブランドへの意識が画一的な場合を「十人一色」・「一人一色」的な一元的解釈、また個人個人でブランドへの認識に大きなバラツキが見られる場合を「十人十色」・「十人百色」的な多元的解釈と呼ぶことができる。そしてこの一元一多元の空間の中に任意のブランドは位置されることになる。一元一多元の軸は二つの要因から規定される。 1)消費者が当該ブランドに対して最も強く感じる意味において、消費者間でどの位一致しているかという程度 2)消費者個人の中でそのブランドに対してどの位の意味数を保有しているかという程度 1)における一致度が高く、かつ2)における保有度が低ければそのブランドの意味解釈の次元は一元的であり、1)の一致度が低く、2)の保有度が高ければ、多元的であり、「意味の拡がり」が大きいということになる。 そこで、某女子大学に在籍している1-4回生の学生140名に対し、女子大生にとって高関与製品である「口紅」と低関与製品である「ミネラルウォーター」の二つの製品カテゴリーにおける主要ブランドを取り上げ、各ブランドの意味解釈の拡がりに関する調査を行った。その結果、ブランドに対する意味の解釈は、ブランドによって様々なレベルがあることが確認された。そして最後に意味解釈の次元の解明は、戦略的にいかなる意義があるのかについて、「ブランド再生」との関わりの中で若干の考察を加えてみた。
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