研究概要 |
有限群Gに対してそのSK_1(Z[G])は、G作用を持つCW複体の単純ホモトピー型による分類を研究する上で欠くことの出来ない概念である。球面に自由かつ線型に作用できる有限可解群Gに対して、そのSK_1(Z[G])は一般には私が以前研究したように複雑な式で表されるが、球面の次元を3に制限した場合の簡潔な構造式を今回得た。更にある型に属する群に対しては、SK_1(Z[G])がある種の構造を持つということが、その群が3次元球面に自由かつ線型に作用できることの十分条件となることを本年度の研究により明かにした。尚、この研究には設備備品費にて購入したノート型パーソナルコンピュータの上でMathematicaを起動し、それにより多くのSK_1(Z[G])に関する計算結果を得ことが大きく寄与している。これらの研究成果は京都産業大学論集・自然科学系列I第27巻に投稿され、受理された。また、同機には群計算ソフトのGAPもインストールしたので、今後これを用いてのより一層の研究も期待できる。以上は交付申請書の研究目的(ii)に関することであるが、これは同書の研究目的(i)に記載した同変(G,d)-複体の同変ホモトピー型及び同変単純ホモトピー型での分類に関する理論の確立とも、代数的K-理論および低次元位相幾何学を接点としてつながっており、そちらの方面への応用も今後期待できるであろう。更に、(i)についてはLueckが導入したfundamental groupoidの利用を試みる方向で現在研究を重ねている。これについては、消耗品として購入したレクチャーノート類、内外の研究者との郵便等による交流が寄与している。
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