弾性論にあらわれる elastic equation を一つのモデルとするような双曲型の初期-境界値問題についての研究を行った。elastic equation は本来非線形であり、その時間大域的解の存在は、まず時間局所的な解の存在を示し、その解のアプリオリ評価を出すことによって示すことができる。その評価を得るために、まずその線形化した方程式の解の時間に関する漸近挙動についての研究を行った。 得られた結果として、線形の elastic system について non-trapping な2次元外部領域において、 local energy の時間に関する decay rate が得られた。 研究の方針としては対応する stationary problem の解の frequency に関する挙動を調べることにより dynamical system の解の時間に関する漸近挙動を調べるという方法で行った。non-trapping の仮定のもとでは、 low frequency (原点付近)での挙動を調べることが、 decay rate を決定するにあたって、特に重要であるが、2次元の場合は基本解が原点で logarithmic な singularity を持つため、 low frequency についての解析が、3次元以上の場合に比較して大変困難である。今回の結果は、Kleinman & Vainberg ('94)の scalar value についての結果で用いられたアイデアを応用することによって、システムにおいても、 low frequency での挙動を明らかにすることに成功した。
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