超幾何関数は多様な顔をもっておりいろいろな理解の仕方がある。その中で、近年注目されている見方は超幾何関数をツイストホモロジーとツイストコホモロジーの対とみなすという見方である。これは、deRhamコホモロジーの理論の自然な拡張である。 吉田正章らのグループによるK_3曲面の族の周期写像の研究、KZ方程式などの場の理論に現われる方程式などの研究が刺激となり、最近10年間の間に超幾何関数の研究はおおいに進んだ。吉田らのグループによる周期写像の研究には、超幾何関数の像がみたす代数的関係式をもとめることが重要であった。彼らの研究では、この関係式は計算機を用いて、力ずくで導出していたが、92年に吉田、喜多はこの関係式はツイストホモロジーの交点行列として理解できることに着目し、交点行列の計算法をn次元射影空間の階数1の局所系の場合に確立した。同じく、93年には趙、松本が1次元射影空間の階数1の局所系に対するツイストコホモロジーの交点行列の計算法を確立した。 さて、階数1の場合がある程度明らかになったのなら、高階の場合はどうかと問うのは自然な方向であろう。この間は自然であるばかりでなく、重要な問題でもある。実際、超幾何関数は、高階の局所系を係数とするツイストホモロジーとツイストコホモロジーの対と見做すことができる。 この研究では高階の場合のツイストホモロジーの計算法を与え、またツイストコホモロジーの交点行列が微分方程式をみたすことを利用して交点数を計算する方法をみつけた。なお最新の結果を書いた論文は現在プレプリントであるため次ページの表にはいれない。
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