1.特性的境界値問題特有の現象である「解の法線方向微分の滑らかさの消失」がおこる物理的例として、非線型Maxwell方程式に対するある初期値境界値問題も考えられることがわかった。今後、他の物理的例をさがすことと共に、どの様な方程式と境界条件の関わりにより、この滑らかさの消失がおこるのかを明らかにしていきたい。 2.浅水波方程式.圧縮性Euler方程式の初期値境界値問題を考察するとき、境界で特性根の重複度が一定でない場合が、自然に現われる。本研究では、この様な場合でも、いくつかの制約条件の下では、通常のSobolev空間におけるエネルギー評価が可能となることを明らかにした。しかし、L^2-解の一意的存在を保障する「弱解=強解」なる事実を示すことがまだ出来ていないので、この点を中心に更に研究を進めていきたい。 3.線型圧縮性粘性流体の半平面における非粘性極限に対する考察を進めた。境界層の出現を取り込んだ形での近似解を構成した。
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