本研究の目的は、半導体2次元電子上に微細金属ゲート付加し、量子ドットあるいは量子細線状に閉じ込められた電子ガスを実現し、これを分光学的な手法を使って調べることである。特に、単一電子帯電効果が生じるような領域での測定は、これまで主に電気伝導によって行われてきいるが、近赤外光領域での分光学的な測定はほとんど例がない。 本年度、このような用途に適した構造をもつ量子ドットアレイを、MBE法による基板の成長から、電子線描画リソグラフィーのプロセス確立まで一貫して行ってきた。現在、試料作成法はすでに確立し、およそ250nm程度の直径の量子ドットの5×5配列を実現できている。このようなサンプルでクーロン閉塞を実現するためには、^3He温度(0.3から0.5K程度)が不可欠であるので、この領域で使用する光学クライオスタットを自作し、本研究費で購入した光学測定系と組み合わせ使用した。 上記のようにして得た試料において、試料の伝導度の測定から、量子ドットアレイは実現できていると考えられるが、クーロン閉塞は現在のところ(0.8K)まだ観測されていない。今後、温度をさらに下げクーロン閉塞の状況を実現するとともに、その状況でのドットからの発光の測定を行っていく。
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