水面波や音波と渦の相互作用において、渦のサイズが波長に比べ十分長い場合に、転位現象が存在することがBerryのグループによる実験で発見され、我々がはじめて解析的に研究した。鉛直渦に流動が入射する場合に、問題は2次元で近似される。その時、量子力学におけるAharonov-Bohm効果との類似があり、遠方での波動は、単純な正弦波でなく、等位相面が転位状態となることがわかった。転位の度合いは、渦の強さに関連する転位パラメータで特徴づけられる。 我々は、この解析を流体系の浅水波、深水波および音波の系に適用し、いずれも渦の存在による流れを考慮した、同じ方程式で表されることを示した。また、この方程式は、音波の場合では、Andreyev-Rusakov (1934)により導かれたものと等価であるが、Aharonov-Bohm効果との類似を用いて解析的に解いた例は、我々が初めてである。さらに、転位波の散乱問題を解き、散乱波の振幅、散乱断面積の解析的表現を得た。 また、渦による流れが存在する場合に波動の伝搬が一様、等方でないため、螺旋状の波動が存在することが予想される。これは、バスタブの渦の上にできる波のパターンからも示唆される。私は、種々の螺旋波が、渦による背景流の分布と対応がつくことを解析的に示した。
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