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1995 年度 実績報告書

メルトの分離過程と溶融の温度・圧力・組成経路

研究課題

研究課題/領域番号 07740423
研究機関名古屋大学

研究代表者

岩森 光  名古屋大学, 理学部, 助手 (80221795)

キーワード溶融 / 2相流 / メルト分離 / 分別溶融 / バッチ溶融 / 熱力学
研究概要

最近およそ10年間の実験的、理論的研究によって地球や惑星内部におけるメルト生成過程は動的なものであることが明らかになってきた。メルトは生成と同時に圧力勾配に応じて移動をはじめ固相も同時に変形や破壊を起こす。このような場では溶融しつつある系の組成は溶融・分離が進行するにつれ変化し溶融の進行に影響を及ぼし得る。特に分別型の溶融ではメルトが化学的に効率よく系から隔絶されるため、系は次第にメルト成分に枯渇しソリダス温度が上昇、メルトを生産しにくくなってくると考えられる。
本研究ではまず動的な溶融過程(すなわちメルトと固相が流動する場)を2相流の方程式から導き、メルトが熱的・化学的に系から隔絶される条件を特定した。その結果、マントルに対応する条件では分離していくメルトと固相の間に熱的な平衡は成立するが、化学的な平衡はメルトの通路の間隔が0.1mよりも大きいと成立しないことが分かった。メルトの 分離様式は溶融の温度-圧力経路にも影響を及ぼす。2相流のエントロビ-保存に基づきこの効果を数値計算によって見積もった。その結果、あるポテンシャル温度・圧力のもとで生成されるメルト量は、メルトが化学的に隔絶される場合(すなわち分別溶融)、化学的に隔絶されない場合(バッチ型の溶融)に比べて5-15%減少することが分かった。逆にある一定量のメルトを生産するときには分別溶融はバッチ型の溶融よりも高いポテンシャル温度が必要となる。海嶺玄武岩の場合(すなわち厚さ約7kmの海洋地殻を生産するとき)はこれまでのバッチ型の溶融に基づく見積よりも約30度高温のマントルが必要となることが分かった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] H.IWAMORI et al.: "Melt generation by isentropic mantle upwelling" Earth and Planetary Science Letters. 134. 253-266 (1995)

  • [文献書誌] 岩森光: "沈み込み帯のマントル対流とマグマの生成" 科学. 65. 665-672 (1995)

  • [文献書誌] 岩森光: "メルト生成の場について-沈み込み帯を例として-" 火山. 特別号 40(印刷中). (1996)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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