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1995 年度 実績報告書

化学反応における振動・回転量子状態選択性に関する理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 07740441
研究機関北海道大学

研究代表者

田地川 浩人  北海道大学, 工学部, 助手 (10207045)

キーワード反応動力学 / 量子化学計算 / 振動・回転分布 / アブイニシオ計算 / トラジェクトリー / イオン分子反応
研究概要

本研究では、化学反応における生成物の振動および回転量子数分布を支配している因子を、分子軌道法および擬古典トラジェクトリー法により明らかにすることを目的としている。さらに、これまでに実験が行われていない反応について、振動回転状態分布を理論的に予測し、実験計画の指針となるモデルを構築することが本研究の目標である。本年度の研究対象として、遷移状態分光として最近注目をあびているイオン-分子反応(プロトン移動反応)を研究した。
A^-+H-B(v,J)→[AHB]^-→A-H(v′,J′)+B^- 反応I
具体的な反応系としては、2つの気相プロトン移動反応
O^-+HF→OHW(v,J)+F^-
F^-+HCl→HF(v,J)+Cl^-
を特に詳細に研究した。
この研究により、反応Iのタイプのプロトン移動反応のダイナミックスは、2つの反応チャンネル(中間体およびダイレクトチャンネル)の重ね合わせにより説明できることを明らかにした。この原因として、衝突直前の配向角(衝突角)が、その反応生成物の振動回転状態を支配していることを明らかにした。また、ごく最近、類似反応
O^-+HCl→OH(v,J)+Cl^-
F^-+HF→HF(v,J)+F^-
について同様な研究を行い、このモデルの妥当性を確認した。これまで、反応のkinematicsがダイナミックスを支配していると考えられてきたが、本研究により、この効果の他に、衝突角のファクターがダイナミックスへ大きく影響することが明らかになった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Hiroto Tachikawa: "A theoretical Study on the Vibrational-Rotational State Selectivity in Chemical Reactions: Proton-Transfer Reactions F^-+HCl(X^1Σ)→HF(v,J)+Cl^-" J.Phys.Chem.99. 255-261 (1995)

  • [文献書誌] Hiroto Tachikawa: "Electronic-to-Vibrationaland-Rotational Energy Transferin O(^1D)+N_2 quenching reaction:Ab-initio MO and Surface Hopping Trajectory Studies." J.Phys.Chem.99. 16630-16635 (1995)

  • [文献書誌] Hiroto Tachikawa: "Theoretical Study on the Large Anisotropy of the g-factor in a Hydrated Metal Complex" J.Phys.Chem.99. 11046-11050 (1995)

  • [文献書誌] Hiroto Tachikawa: "On the hydrogen abstractionreaction CH_3+CH_3CN→CH_4+CH_2CN.Importance of short-cut tunneling paths on the two-dimensional potential energy surface" Chem.Phys.Lett.241. 7-12 (1995)

  • [文献書誌] Hiroto Tachikawa: "Formation and Isomerization Mechanism of M^+CO_2^-(M=Li,Na) Ion-pair complexes" J.Mol.Struct(THEOCHEM). 342. 1-7 (1995)

  • [文献書誌] Hiroto Tachikawa: "Structure and Electronic States of Electron Donor-Acceptor Complexes." Inorg.Chem.34. 6546-6549 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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