研究概要 |
本研究の目的はマンガンカタラーゼ類似機能を有する最小単位となる二核マンガン錯体を合成し、その反応機構を明らかにすることである。今回新たな明らかにした事柄をまとめると以下の様になる。まず,カタラーゼ反応の基質となる過酸化水素の反応サイトとなるマンガン周りの立体障害を少なくしたモデル化合物,空きサイトの対称性を変化させたモデル化合物を合成し,少なくとも二つの空きサイトがシス位に位置していることが,高いカタラーゼ類似活性発現に必要であることを明らかにした。また,副反応として,ペルオキシダーゼ反応が起こると推測されていた非対称な配位子系と新たに合成した対称な配位子系と過酸化水素との反応を詳しく検討した結果,非対称系では過酸化水素の1電子還元体および1電子酸化体の生成,フェノールの1電子酸化が観測された。
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