ルミノール誘導体のアミノ基へ分子認識素子を導入するモデルとしてアニリン性アミノ基をアミド、2級アミンへの変換を試みた。ルミノール骨格のアミノ基は反応性が低く、変換は困難であった。さらに少量得られたモデル化合物で、発光性能を検討したところ、殆ど発光しないことが判り、分子素子としての応用が困難であると判断した。 次に、分子認識部位をヒドロキシメチル-12-クラウン-4として、比較的簡単な環構造で蛍光を有する、ナフタレン・アントラセン・ピレン・アクリジン・カルバゾール・フルオレンなどとのエステル誘導体を合成した。これらの新規ホスト分子に、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の各種塩を添加したところ、そのカチオンやアニオンの組み合わせで、蛍光強度に変化が見られた。いずれの場合も紫外可視吸収スペクトルや、蛍光スペクトルのスペクトルパターンに変化は見られず、蛍光スペクトルの強度のみ変化が観測された。これらの化合物はある一定波長の蛍光強度を出力信号とすると、カチオン(Na・K・Ca・Ba)、アニオン(SCN・ClO_4・NO_3・I)の入力信号に対して論理的分子認識(AND・OR・NOT)を示すホストとしての機能を有することが明らかとなった。
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