研究概要 |
代表的な包接化合物として知られるシクロデキストリン(CD)を両親媒性化し、気水界面で機能性有機分子を包接することにより安定化および高機能化を目指した。機能性有機分子としては、代表的なフォトクロミック化合物であるスピロピラン誘導体を選択した。今年度は、研究目的遂行のために以下の実験を行った。 1 両親媒性CDの合成 β-CDの6位の水酸基のアルキル化を最初に行った。β-CDをジメチルホルムアミド中メタンスルフォニルブロミドと反応させることにより臭素化し、その後、種々の鎖長をもつアルカンチオールと反応させた。アルキル鎖長は、ヘキシル、デシル、テトラデシル、オクタデシルの4種である。このようにして得られた4種のβ-CD誘導体は、精製後、FAB-MS,NMR法等により構造確認した。 2 表面圧-面積曲線の測定 得られた4種の誘導体をクロロホルムに溶解後、純水上に展開し表面圧を測定した。その結果、4種類の誘導体は50から60mNm^<-1>位で崩壊する安定な膜を形成した。分子占有面積は、どの誘導体においてもおよそ200平方オングストロームであり計算値とほぼ一致した。現在、ホスト化合物であるCD誘導体とゲスト化合物であるスピロピラン化合物を同時に溶解し錯形成後水面上に展開する実験を行っている。このとき、展開溶媒の種類、ホストの濃度、ゲルソの濃度、サブフェーズや温度等を種々変えることにより単分子膜作成のための最適条件を検討している。
|