本研究では、タバコ培養細胞BY-2を用いて細胞壁構築過程の研究を行い、以下の点を明らかにした。(1)EXGT関連タンパク質の精製を進めたところ、BY-2の細胞壁には少なくとも12種類の関連タンパク質が存在することが明らかになった。別の植物であるシロイヌナズナにも7種類のEXGT類縁遺伝子が存在することから、高等植物のEXGTは大きな遺伝子ファミリーを形成していると考えられる。また、未分化なBY-2細胞でも多くのEXGT類縁タンパク質が存在することから、細胞壁構築過程におけるキシログルカン代謝は、これまで考えられてきた以上に複雑であると考えられる。(2)形質転換BY-2細胞を用いてEXGT遺伝子の発現解析をしたところ、最も解析が進んでいるシロイヌナズナEXGT-A1遺伝子の5'上流1kb以内に強いプロモーター活性を示すための情報が含まれること、この遺伝子は植物ホルモンの一つブラシノライドで発現誘導を受けることなどが明らかとなった。
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