estrogenは卵形成過程のうちで卵黄蓄積期に重要な働きをする事が知られており、卵濾胞細胞から分泌される。この卵濾胞細胞は卵成熟期になると機能を転換し、estrogenに代って卵成熟誘起ホルモンを分泌するようになる。この機能転換は受精可能な卵形成の過程に必須であるといえる。 前年度にクローニングしたメダカP-45arom cDNAをプローブに用いて、今年度はまずestrogen産生とP-450arom転写物との関係をノーザンブロット解析とラジオイムノアッセイにより調べた。その結果、P-450aromの転写物の量とestrogen分泌量とは一日一回の増減を示し、両者には強い正の相関関係が存在する事が示された。また、転写阻害剤を卵濾胞培養系に加える事により、P-450aromの転写物量が減少してestrogen産生が阻害される事から、estrogen産生は卵濾胞に於いて転写レベルで調節されている事が示唆された。 また、whole mount in situ hybridizationを行ったところ、卵黄蓄積期より以前の卵濾胞に於いてもP-450aromの発現が認められたので、卵黄蓄積期と同じP-450arom遺伝子のプロモーターを使用しているか否かをRACE法で調べた。その結果、卵黄形成期と同じP-450arom5末端が得られた事から同じプロモーターを用いている事が示された。
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