1.今年度の成果 2種類以上の繊維を組み合わせたハイブリッド型繊維強化プラスチック(以下、ハイブリッドFRPと略称する)は、単一繊維のFRPでは得ることのできない優れた機械的性質、いわゆるハイブリッド効果が期待できると同時に、繊維の種々の組み合わせにより材料設計の自由度が高くなるという特徴も有する。 本研究では、種々の強化繊維を組み合わせたハイブリッドFRPの静的および疲労強度を実験的、理論的に検討し、強度に関するハイブリッド効果の機構を解明した。具体的には、 (1)強化繊維としてガラス繊維、アラミド繊維およびカーボン繊維、母材樹脂として破断のびの異なる不飽和ポリエステル樹脂とビニルエステル樹脂の2種類の樹脂を用いて、これらを種々組み合わせたハイブリッドFRP積層板を成形した。 (2)(1)で成形した積層板の静的引張および曲げ試験、引張および曲げ疲労試験を実施し、これら引張および曲げ強度を求めた。また試験後の破面観察を行ない破壊機構について検討した。 (3)(2)で得られた結果を詳細に比較し、疲労特性に関するハイブリッド化のメリットと積層板の設計指針について検討した。 今後の研究の展開 (1)これまでに得られた研究成果を総合し、積層板の力学および破壊モデルを構築し、ハイブリッド効果の機構をシミュレートする。 (2)実験および解析結果をデータベースとして構築し、ハイブリッド効果における繊維、母材樹脂、積層構成、負荷条件等の影響について検討し、実際の使用環境条件の下での繊維や樹脂の選定ならびに積層構成の決定といった材料設計に対する指針を求める。
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