研究概要 |
この研究の目的は,FRPの表面改質技術として溶射法により金属,サ-メット,セラミックなどの硬質材料を被覆する技術を確立することである。この申請においては,基材のFRP表面に溶射皮膜を形成するための安価な幾つかの手法を試み,溶射皮膜とFRPの密着のための基礎技術の検討に重点を置き,皮膜の機能・性能については、今後の課題とした。 基材にFRPで基本的かつ現在最も広範囲で使用されているガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を使用した。研究は,(1)前処理としてブラスト処理の有効性の検討ならびに,(2)硬質皮膜との密着力の向上,基材の保護のための下地溶射における材料(市販材),その組成、溶射法の検討を行った。さらに,耐摩耗性向上のため市販の硬質材料(WC-12mass%Co)を高速フレーム溶射装置にて皮膜を形成した。 以下に研究により得られた知見を示す。 1.基材前処理:基材をアルミナ粉末を用いてブラスト処理を行い,基材表面のエポキシ樹脂層を取り除き,最上面のガラス繊維を露出し,この繊維上に地下溶射することが有効である。しかし,完全な繊維の露出は困難であった。また,エポキシ樹脂上には次項目の金属などはまったく付着しない。 2.下地溶射(結合材料):一般に用いられるNi-10mass5Al及びCu-10mass%Alの融点の高い金属は成膜しない。融点低いZn,Pb合金(バビットメタル),ブラストなしでもし,成膜するが簡単に剥離してしまう。Al及びA1-Si合金をポリイミドで被覆した材料粉末は成膜し,付着したが十分な密着力が得られない。エポキシ樹脂及びポリエチレン樹脂は成膜し,フュージング処理することにより十分な密着力が得られる。 傾斜組成皮膜:プラスチック上に高速フレーム溶射法にて硬質材料を溶射すると,溶射粉末により基材が容易にブラストされてしまう。よって,エポキシ樹脂と金属を基材側から徐々に金属を増やして溶射し傾斜組成皮膜を作製することが有効であった。
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