研究概要 |
電場が作用した状態の電気粘性流体は異方性の懸濁液であり,その伝熱特性については,熱物性はおろか熱伝達特性も現時点では明らかにされていない.申請年度では,電気粘性流体の平行平板間定常流について,その伝熱特性,とくに流路壁面で加熱される場合の流体の熱伝達率と作用電場との関係を明らかにした. 供試流体の選定であるが,電束密度一定の電場作用下でも分散媒と粒子の組み合わせや混合重量比の違いにより流体の見かけの粘度が大きく変化するため,本研究では市販品を使用した. アクリル樹脂の平行平板流路を設け,その流路の一部に直流高電圧発生装置を設置し,数kV/mm程度の局所電場を発生させた. 流路の片面の一部を等熱流束条件下で加熱し,加熱域,加熱上下流域の壁面温度変化を測定し,熱輸送量と流体流量・電場強度との関係を明らかにした.加熱は流路に沿ってステンレス箔を設置し,それに交流電流をかけることによりジュール熱を発生させて行った. まず,流体工学上重要なパラメーターである管摩擦抵抗係数を求め,それをビンガム流体の支配方程式を用いて求めた見かけレイノルズ数で整理し,ムーディー線図を得た.その結果,ERFの管摩擦係数がビンガム流体として整理できることが判明し,ERFの単純剪断流の流れ場については,その詳細が明らかになった. 熱伝達特性については,見かけレイノルズ数が同じである場合,ERFの熱伝達率が電場の強さに比例することが判明した.
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