研究概要 |
本研究では,固-気混相高速流における両相間の運動量交換機構の一端を解明することを目的として,現有の衝撃波管を用い以下の実験を行った.なお,設備備品として補助金により購入した圧力変換器はこの衝撃波管管壁に取り付けられ,衝撃波背後の圧力測定及び衝撃波通過時間の,より精密な測定に使用された. 1.非定常高速流中における球の抵抗係数測定実験 衝撃波管を用いて平面衝撃波(マッハ数1.30)を発生させ固体粒子(平均粒径3.19mm,真密度900kg/m^3)と衝突させた.衝撃波背後で誘起される非定常な高速気流により運動する粒子を,4台のキセノンランプ(既存)で多重露光撮影し,その変位を測定した.この変位を,衝撃波が粒子初期位置を通過してからの経過時間に関する3次関数で最小二乗近似して,粒子の速度・加速度を求め,運動方程式を用いて粒子の抵抗係数を算出した.4台の光源を用いた多重露光撮影法により,昨年行った予備実験よりも精度良く粒子位置を測定することができた.得られた抵抗係数は,観測時間内で,定常流中で測定された値を上回るものとなり,固気相間の運動量交換項を評価する際に従来のように定常流中で測定された抵抗係数を用いることは適当でないことが示された. 2.衝撃波により舞い上がる微粒子の初期運動の観測 衝撃波管の床面に粒子(平均粒径0.4mm,真密度1,200kg/m^3)を置き,管内で発生させた衝撃波により舞い上がる粒子の初期運動を,2台のキセノンランプ(既存)を連続発光させて多重露光撮影を行い,並進速度,回転角速度の測定を行った.その回転方向を吟味することにより微粒子の舞い上がり運動に及ぼす回転の影響(マグナス効果)はほとんどないこと,すなわち,流れに直交する方向の固気相間の運動量交換機構においてマグナス効果は考慮する必要がないことが明らかになった.
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