研究概要 |
当該研究では,根元第1関節を非駆動関節とし第2,第3関節にアクチュエータを有する2入力3重柔軟振り子を制御対象として,2つのアクチュエータのトルク変化を最小にすることを評価関数とし,柔軟振り子の第2,第3関節および先端の加速度情報を用いた非線形出力フィードバック制御系とこれに協調して所定の時間に終端状態に持って行くための誤差学習を用いたフィードフォワード補償入力を設計した.また,導出した非線形運動方程式による数学モデルのモデリングの妥当性の検証のため,製作した実験モデルに対して実験モード解析を行うと同時に,パラメータ変動に対する制御系のロバスト性について実験的に検証した. まず,根元第1関節を非駆動関節とし第2,第3関節にアクチュエータを有する2入力3重柔軟振り子について,モデリングを行った.モデリングで得られた非線形運動方程式を状態方程式化し,これにニューラルネットワーク型非線形出力フィードバックによる制御系を構成し,コンピュータを用いた数値計算により変分法と誤差逆伝播法に基づく勾配関数を用いた最急降下法により制御系の最適化を行った.さらに,フィードバック制御系に協調して所定の時間に終端状態に持って行くための誤差学習によるフィードフォワード補償入力を設計した.数値シミュレーションを行い,当該制御手法の有効性を検証するとともに,これに基づき,実験モデルの設計・製作を行った.各関節の回転角度はロータリエンコーダによりアップダウンカウンタを介して検出し,各アームの弾性振動はひずみゲージ式加速度センサを用いて検出した.製作された実験モデルを実験モード解析することによりモデリングの妥当性を検証し,制御実験ではDSP(Digital Signal Processor)に数値計算によって設計された制御系を実装し,2入力3重柔軟振り子の運動と振動の非線形最適制御を実現した.さらに,制御対象にパラメータ変動を生じた場合について制御実験を行い,当該非線形フィードバック制御系がロバスト制御性能を保持することを実験的に検証した.
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