研究概要 |
本研究の目的は,既に試作済みであるイットリウム系の高温超電導体を用いた完全受動形の超電導磁気軸受の軸受剛性を向上させるため,超電導磁気軸受に能動制御形の磁気軸受を組み入れた併用形超電導磁気軸受を試作し,その評価を行うことであった。 1.能動制御形超電導磁気軸受の試作 能動制御形の超電導磁気軸受はロータ,超電導体による支持軸受,電磁石による支持軸受の主に3要素から構成した。ロータは超電導磁気軸受と電磁石による磁気軸受の2方式で浮上させることができるようにした。 2.制御系の構成 ロータの上下左右の変位信号を1カ所に集め,システム全体をモデリングして制御信号を作り出す集中制御方式をとった。制御方式としてはアナログ回路によるPID制御を用いた。システムの開ループ周波数特性を評価し,PIDの各ゲインを決定した。 3.能動制御形磁気軸受としての評価 先ず,電磁石のみを支持軸受とした磁気軸受を構成した。この制御形の磁気軸受のみで支持したロータの回転特性を評価した。回転特性としては,主に回転数と振幅との関係を評価対象とした。これによって,試作した能動制御形磁気軸受の評価とした。 4.超電導磁気軸受としての評価 超電導磁気軸受のみで支持したロータの回転特性の評価実績は既にあるので,それに従い今回も評価を行った,昨年同様の結果を得た。 5.併用形超電導磁気軸受としての評価 制御機構を機能させた併用形超電導磁気軸受によって支持されたロータの回転特性を評価した。評価項目として,コンプライアンス,インパルス応答,エネルギー消費などを考えた。これらの結果,併用形超電導磁気軸受の有用性が確認された。
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