研究概要 |
色彩画像処理を用いて顔の唇周辺の色彩を人間の色彩感覚に合致したHSV表現法を用いて定量化することで,人間が唇を色やつやの違いとして認識するように,色相・彩度に基づいた唇抽出方法を提案し,従来のRとGの信号比を用いる手法との唇の抽出精度の比較を抽出率を定義して定量的に評価し,抽出精度が高まることを明らかにしている.提案する手法では,人工的な彩色を施すことなく自然な状態の顔画像が定量化できるため,唇抽出にとどまらず,顔画像の色彩データベース化やヴァーチャル顔画像の色彩決定に発展利用できる. また,色彩データベースの構築やヴァーチャル顔画像作成への応用を目指して,顔を唇,左頬,右頬,鼻梁,眉間の5つの領域に分け,各領域をHSV表現法で定量化することで顔色を分析し,とくに領域間の色彩の関係について相関分析を行っている.その結果,唇とそれ以外の色相の関係は、男性では無相関とみなせ,男性の自然なヴァーチャル顔画像の合成においては,測定された唇の色相の範囲内であれば、唇の色相を頬等の顔色とは独立に選定可能である.また男女共に唇の色相の分布は他の領域と異なることから,唇抽出にあたっては顔全体の色彩情報を得ることなく,唇周辺のみに着目すればよい. そして,HSV表現での平均の顔色を求め,平均の顔色の顔画像を合成するとともに,平均顔色画像と個人の顔画像との色彩の差に基づいて,顔色の個性とその強調方法を提案し,強調顔色画像の合成を行っている.官能検査によるアンケート評価によって,強調顔色画像の誇張の評価を行い,顔色強調画像の合成で本人らしさを強調できることを示している。
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