本研究では、柔軟関節を用いた力制御の有効性を計算機シミュレーションにより確認した。また、柔軟関節を有する3自由度のモノスキーロボットを製作し、実験によりスキーのターンのメカニズムを解析した。 ロボットの関節に柔軟性を持たせたとき、外角センサからの情報をフィードバックすることにより、位置決めの際の残留振動を抑制できることを計算機シミュレーションにより確認した。シミュレーションには本補助金により購入したパーソナルコンピュータMacintosh9500、数式処理ソフトMaple、および制御系設計ソフトMATLABを使用した。 また、柔軟関節を用いたロボットとして、3自由度のモノスキーロボットを製作した。モノスキーモデルは、不安定平衡状態におけるターンの極限として、現実の安定した高速ターンに必要な要素を含んでいる。製作したモノスキーロボットを用いてエッジ角や迎え角、重心の移動といった要素に関する定量的な実験を行った。この結果は、本年2月に山形大学と共同で開催された鶴岡創造アカデミーにおいて発表した。 今回製作したモノスキーロボットは、二つのジャイロセンサを搭載し、ある程度の姿勢制御を行うことができる。しかし、動的制御を行っていないため、滑走実験を行う時には、倒れないための補助が必要である。滑走中のスキーの動力学を解明するためには、ターンの不安定平衡状態をロボットで実現することが重要になる。倒立振子モデルを用いたモノスキーロボットの動的制御の実現、および2脚スキーロボットの製作などが今後の課題である。
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