GaNなどの窒化物半導体は青色発光デバイスとして大きな注目を集めている。しかし、これまでは主に原料としてアンモニアが、基板としてサァイアが主に用いられているが、転位密度やへき開の困難さなどのために高性能青色レーザを作製するのが困難である。 本研究はこれまで我々の研究室で蓄積されたSi基板上にGaAsやGaPの化合物半導体を成長する技術とプラズマによってPH_3を分解することによって低温でInP結晶を成長する技術を組み合わせることにより、Si基板上へ平坦で転位密度の少ない青色レーザ用GaN結晶を成長する技術を確立することを目的として実験を行った。 Ga原料は通常MOCVDで用いられているトリメチルガリウムを用い、窒素原料は腐食性の無い窒素ガスをプラズマで分解して用いた。従来のMOCVD装置に新たに高周波プラズマ電源を設置することにより、MOCVD反応管内の基板直前で窒素プラズマが発生可能になった。 先ず条件を変えて13.56MHzの窒素プラズマによってGaP基板の窒化を行い、X線回折、走査電子顕微鏡、ESCA、ナノインデンタによって評価した。プラズマ出力を増加すると共に窒化された層の厚さと窒素の数が増加した。これは窒素プラズマによって窒素原子がGaP中に入ることを示している。X線回折から(001)GaP基板を窒化した層は六方晶GaNであることがわかり、窒化により立方晶から六方晶が成長可能であることが示された。さらに窒化に引き続きトリメチルガリウムと窒素プラズマを原料としてGaNを結晶成長することにより厚いGaN膜も成長可能となった。
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